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相続税ニュース 2022年6月

タワーマンション節税スキームに最高裁上告棄却

2022年6月22日

文責:北島会計

注目の「タワマン裁判」は2022年4月19日、取り消しを求めた原告の上告を最高裁が棄却する形で決着となりました。
「税負担の公平に反する事情がある場合には例外規定を使える」という判断です。

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今回の原告は、父が2009年に計13億8700万円で購入したマンション2棟を12年に遺産相続した。通達を元に計約3億3千万円と評価し、購入時の借金を差し引いて相続税をゼロと申告した。
路線価は実勢価格より低く設定され、利便性の高い都心部のマンションでは差額が大きくなる。相続前に購入すれば、現金のまま保有するより資産を圧縮でき、節税効果がある。
税務署は今回のケースはこの差額を利用した「行きすぎた節税」と判断して例外規定を使い、土地・建物を約12億7300万円と評価し直し、約3億3千万円を追徴課税した。原告側は「例外規定の適用基準があいまいだ」と訴えた。
(「マンション相続課税、「伝家の宝刀」抜いた国の勝訴確定 最高裁」朝日新聞デジタル 2022年4月19日 より)

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いわゆるタワーマンションによる節税とはどのようなやり方を言うのか解説していきます。

例えば法定相続人が子供1人であり、現金3億円を相続したとします。この場合基礎控除3,600万円を引いた2億6400万円がそのまま課税価額です。
相続税は9,180万円になります。

では死亡前に3億円のタワーマンション30階の一室を購入し、相続したとします。
実際のある事例では相続税評価額は5,800万円でした。
このまま相続すれば、相続税は280万円になります。

何故売買価格からこれだけの乖離が生ずるのか。これは簡単に申し上げると、相続税評価においては30階の部屋でも1階の部屋でも相続税評価額は同じになるためです。
「場所」(路線価)と「専有面積」が主な評価材料であって、高さは考慮しない訳ですね。さらに言えば南向きか北向きかなども考慮されません。

さらに

  • 相続人が住んでいる
  • 賃貸用に貸し出している

などの諸条件を満たしていれば「小規模宅地の特例」が利用できます。これは最大で80%の評価額を減額できるものです。
上記の例で言えば相続税額は0円になる可能性が高いですね。大幅な課税評価額の圧縮が可能と言えます。

では何故納税者は最高裁で負けたのか。
財産評価基本通達6項に次のような文言があります。
「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。」
上記記事で「伝家の宝刀」と表現しているのはこの通達のことです。
時価とあまりにも乖離があった場合は、個別に評価するということですね。「著しく不適当」かどうかなど明確な判断基準がない点が、今後の判断に困るところです。